• ホーム
  • 特集
  • 【交通事故の羅針盤】レンタカー運転中に事故! 保険は使える? 補償範囲についても解説

【交通事故の羅針盤】レンタカー運転中に事故! 保険は使える? 補償範囲についても解説

2026.9.10公開   2026.9.9更新
    レンタカー事故の損害賠償は、基本的にレンタカー保険でカバーします ©Getty Images

    この記事を読むと分かること

    レンタカーで交通事故を起こした場合、保険によってどこまで補償されるのでしょうか。レンタカー保険の補償内容や損害賠償請求の流れ、事故発生時の注意点などを弁護士がわかりやすく解説します。

    提供:株式会社朝日新聞社

    レンタカーを借りるときは、レンタカー専用の自動車保険に加入するのが一般的です。万が一レンタカーで交通事故を起こしたら、その保険によって損害賠償責任がカバーされます。ただし、補償の限度額が設定されている場合は、それを超えると自己負担となることがあるので注意しましょう。

    レンタカーで事故を起こした場合は、弁護士に相談しながら解決を図りましょう。弁護士はレンタカー保険の補償内容を踏まえつつ、適切に手続きを進めてくれます。

    レンタカーの運転中に起こった事故について、レンタカー保険の補償内容や損害賠償請求の流れ・注意点などを弁護士が解説します。

    レンタカーで事故を起こしたら、保険は使える?

    レンタカーの運転中に交通事故を起こしたら、自分の過失割合に応じて、相手方に生じた損害を賠償しなければなりません。そのため、レンタカーを借りるときは、レンタカー専用の自動車保険(レンタカー保険)に加入するのが一般的です。レンタカー保険に加入していれば、損害賠償責任が保険によってカバーされます

    ただしレンタカー保険では、損害賠償責任の全額は補償されないケースが多いです。レンタカー保険の約款などを参照し、補償される損害賠償責任の範囲を確認してください。

    レンタカー保険の補償内容・範囲

    レンタカー保険の補償内容は「対人補償」「対物補償」「車両補償」「人身傷害補償」などがあります。各補償には限度額が設けられていることがあるので注意が必要です。

    レンタカー保険の主な補償内容

    レンタカー保険の主な補償内容としては、以下の例が挙げられます。

    【対人補償】

    事故の相手方が受けた人身損害(=けが・後遺症・死亡による損害)を賠償する責任が補償されます。たとえば、事故の相手方の治療費や慰謝料などです。

    【対物補償】

    事故の相手方が受けた物的損害(=車両などの物の破損等による損害)を賠償する責任が補償されます。たとえば、電柱や相手の車両の修理代などです。

    【車両補償】

    事故によって壊れたレンタカーの修理費などが補償されます。

    【人身傷害補償】

    事故によって自分が受けた人身損害が補償されます。

    事故の相手方に対する損害賠償責任は、対人補償と対物補償によってカバーされます。壊れたレンタカーの修理や弁償にかかる費用は、車両補償によってカバーされます。自分が受けた人身損害については、事故の相手に過失がある場合は相手側に賠償を請求できますが、レンタカー保険の人身傷害補償によっても補償を受けることができます

    レンタカー保険によって補償される金額

    レンタカー保険によって補償される限度額は、保険契約によって個別に定められます。対人補償については1名につき無制限、対物補償については1事故につき無制限とされていることが多いです。ただし保険によっては、数千万円程度の限度額が設定されているものもあります。

    死亡事故や、重い後遺障害が残る事故では、賠償金の合計が数千万円から数億円以上となることもあります。保険でカバーされないと自分で支払うことになるおそれがあるので、対人補償と対物補償は無制限としておくことが望ましいです。

    車両補償については、車両時価額(事故発生時の価値)が限度額とされるのが一般的です。人身傷害補償の限度額は保険によって異なりますが、3000万円から5000万円程度に設定されている例がよく見られます。

    なお「3. レンタカー保険を適用しても、自己負担となる金額」で解説するように、賠償金が限度額の範囲内であっても、免責額やノン・オペレーション・チャージ(NOC)は補償されず自己負担となることがあるので注意してください。

     レンタカー保険を適用しても、自己負担となる金額

    レンタカー保険が適用される場合でも、以下の金額については自己負担となります。

    • 補償限度額を超える額
    • 免責額
    • ノン・オペレーション・チャージ(NOC)

    補償限度額を超える額

    レンタカー保険における各補償の限度額を超える部分は、事故を起こした運転者の自己負担になります。

    たとえば車両補償の限度額が100万円である場合に、レンタカーが全損して買替費用が150万円かかったとします。この場合、限度額を超える50万円分は運転者が自己負担しなければなりません

    免責額

    対物補償や車両補償には「免責額」が設定されている場合があります。これは、保険ではカバーされない自己負担額です。免責額を超えた部分の金額についてのみ、保険が使える仕組みになっています

    たとえば車両補償の限度額が100万円、免責額が5万円で、レンタカーの修理費が50万円かかったとします。この場合、免責額を超える45万円分はレンタカー保険で補償されますが、免責額の5万円は運転者の自己負担となります

    ノン・オペレーション・チャージ(NOC)

    レンタカー保険には「ノン・オペレーション・チャージ(NOC)」が設けられていることがあります。

    NOCは、レンタカーの修理や清掃などが必要となった場合に、その車が稼働できないことによる営業上の損害を補償するものです。2万円から5万円程度の金額が設定されていることが多く、運転者の自己負担となります。

    レンタカー保険が適用されないケース

    重大な交通規制違反や契約違反により事故を起こした場合には、レンタカー保険の適用を受けられず、損害賠償などがすべて自己負担になってしまうおそれがあります。レンタカー保険が適用されないケースとしては、以下の例が挙げられます。これらの行為をしないように十分注意しましょう。

    • 警察官に交通事故の報告をしなかった場合
    • 登録した運転者以外の者が運転していた場合
    • 無免許運転をした場合
    • 飲酒運転をした場合
    • 返却期限を無断で経過した場合

    レンタカー保険による補償を受けられない場合、自分の保険は使える?

    自分の車を持っているものの、旅行先ではレンタカーを利用するという人もいるでしょう。このような人がレンタカーで事故を起こした場合、レンタカー保険と併せて、自分の車で加入している自動車保険を利用できることがあります。

    レンタカー事故について、自分の車の自動車保険を適用できるのは、その自動車保険に「他車運転特約」が付いている場合に限ります。他車運転特約とは「他人から一時的に借りた車の運転中に生じた事故についても、保険金を支払う」という自動車保険の特約です。

    レンタカー保険だけでは補償が足りない部分が出た場合は、自分の自動車保険に他車運転特約が付いているかどうかを確認してみましょう。

    レンタカーと衝突した場合、損害賠償は誰に対して請求できる?

    通事故に巻き込まれたところ、加害者(相手)が運転している車がレンタカーだった場合は、レンタカー保険の保険会社に対して損害賠償を請求できます。相手方の住所・氏名・連絡先などを確認する際、レンタカー保険に関する窓口についても確認しましょう。

    レンタカー事故の損害賠償請求の流れ

    レンタカー事故の損害賠償請求は、おおむね以下の流れで行います。弁護士のサポートを受けながら手続きを進めて、適正額の損害賠償の獲得を目指しましょう。

    • 事故直後の対応
    • 医療機関の受診・治療
    • 後遺障害等級認定の申請
    • 示談交渉
    • ADR・訴訟

    事故直後の対応

    事故直後の段階では、以下の対応などを行います。

    • 負傷者の救護
    • 道路上の危険を防止するための措置(車両を道路脇に寄せる、停止表示板を設置するなど)
    • 警察官への報告
    • 相手方の住所、氏名、連絡先などの確認
    • 保険会社への連絡
    • (自分がレンタカーの場合)レンタカー会社への連絡

    医療機関の受診・治療

    事故後速やかに医療機関を受診し、けがの治療を受けます。自覚症状がなくても、見えない部分でけがをしていたり、後から痛みが出てきたりする可能性があるので、必ず医療機関を受診してください

    後遺障害等級認定の申請

    けがが完治せず後遺症が残った場合は、後遺障害等級の認定を申請します。申請方法は、加害者側の保険会社に任せる「事前認定」と、被害者自ら申請する「被害者請求」の2通りです。被害者請求のほうが納得のいく形で申請できるものの、手間と時間がかかるため弁護士にサポートを依頼することをおすすめします

    後遺障害等級は症状の程度に応じて1級から14級に分類されており、認定される等級によって、加害者側に請求できる損害賠償の額が大きく変わります。適正な後遺障害等級の認定を受けられるように、医師が作成する後遺障害診断書などをきちんと準備しましょう

    >>関連記事
    後遺障害等級の認定の流れ 認定されないときの対処法も解説

    示談交渉

    けがが完治した場合はその診断を受けた後、後遺症が残った場合は後遺障害等級の認定を受けた後に、加害者側との間で示談交渉を行います。示談交渉では、当事者双方が損害賠償の条件を提示し合い、話し合いを重ねて歩み寄りながら合意を目指します。

    ADR・訴訟

    示談交渉がまとまらないときは、裁判所以外の第三者機関が取り扱うADR(裁判外紛争解決手続)や、裁判所で行われる訴訟によって解決を図ります。事故の客観的な状況や過失割合などについて、有力な証拠に基づいて説得的な主張を行うことが、ADRや訴訟によって有利な解決を得るためのポイントです。

    レンタカー事故の被害者が請求できる損害賠償の主な項目

    レンタカー事故の被害者は、加害者に対してさまざまな項目の損害賠償を請求できます。損害賠償の種類は「積極損害」「消極損害」「慰謝料」の3つに分かれます。

    積極損害|治療費など

    「積極損害」とは、交通事故によって支出を余儀なくされた費用です。レンタカー事故の被害者は、以下に挙げる賠償を加害者側に請求できます。

    積極損害の項目概要
    治療費けがを治療するために、医療機関や薬局に支払った費用
    装具、器具の購入費義歯、義眼、義手、義足、車いす、かつら、眼鏡、コンタクトレンズ、介護ベッド、コルセット、車いすなどの購入費用
    通院交通費通院するためにかかる交通費
    入院雑費入院中に日用品を購入するための費用
    付添費用(職業付添人)職業付添人に入院や通院への付き添いを依頼する場合の費用
    介護費用(職業介護人)職業介護人に介護を依頼する場合の費用
    葬儀費用亡くなった被害者の葬儀費用
    自動車の修理費壊れた自動車の修理費用
    代車費用壊れた自動車が使えない期間に借りる代車の費用

    消極損害|休業損害・逸失利益など

    「消極損害」は、交通事故によって得られなくなった利益です。レンタカー事故の被害者は、以下に挙げる賠償を加害者側に請求できます。

    消極損害の項目概要
    休業損害交通事故の影響で仕事を休んだことによって得られなくなった収入
    逸失利益後遺症や死亡によって将来得られなくなった収入
    付添費用(近親者)入院や通院に近親者が付き添う場合に、その時間で経済活動ができなくなることによる逸失利益
    介護費用(近親者)近親者が介護をする場合に、その時間で経済活動ができなくなることによる逸失利益

    >>関連記事
    交通事故の逸失利益とは?【早見表付き】 計算方法や増額のポイント

    慰謝料|入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料

    「慰謝料」は、交通事故によって受けた身体的・精神的苦痛に対する賠償金です。

    レンタカー事故の被害者は、けがをした場合は入通院慰謝料、後遺症が残った場合は後遺障害慰謝料を加害者側に請求できます。被害者が死亡した場合は、遺族が死亡慰謝料を加害者側に請求できます。

    慰謝料の項目概要
    入通院慰謝料けがをして入院や通院を余儀なくされたことによる身体的・精神的苦痛の賠償金
    後遺障害慰謝料後遺症が残ったことによる身体的・精神的苦痛の賠償金
    死亡慰謝料死亡したことによって本人が受けた身体的・精神的苦痛の賠償金、および遺族が受けた精神的苦痛の賠償金

    >>関連記事
    交通事故の慰謝料の相場 早見表【最新版】と計算方法を解説

    レンタカー保険について知っておくべき注意点

    レンタカーを借りるに当たってレンタカー保険に加入する際には、特に以下に挙げるポイントに注意してください。

    対人補償・対物補償が無制限のものを選ぶべき

    レンタカー保険で最も重要なのは、対人補償と対物補償が無制限のものを選ぶことです。対人補償と対物補償に限度額が設けられていると、交通事故を起こした際に、予期せぬ高額の損害賠償が自己負担となるおそれがあります。

    ほとんどのレンタカー保険では対人補償と対物補償が無制限とされていますが、本当に無制限となっているか念のため確認しましょう。

    自己負担の有無や金額を確認すべき

    対物補償・車両補償の免責額やNOCなど、レンタカー保険では補償されない自己負担金の有無や金額も確認しておきましょう。

    レンタカー保険によっては、オプション料金を支払えば免責額やNOCがかからないようにできる場合もあります。ただし別途料金が発生することもあるため、どちらがよいかは一概に言えませんが、自己負担が気になるようであれば検討してみてください。

    レンタカー事故が発生した場合に、弁護士に相談・依頼するメリット

    レンタカーで事故に巻き込まれたときは、弁護士に相談することをおすすめします。レンタカー保険の補償内容を踏まえたうえで、その後の対応の進め方などについてアドバイスを受けられます。

    正式に弁護士へ依頼すれば、示談交渉・ADR・訴訟など、損害賠償請求の対応全般を任せることができます

    交通事故の損害賠償額の算定基準には「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準(裁判所基準)」の3つがあるところ、弁護士が介入することで「弁護士基準」による損害額の算定と請求が可能になります。弁護士基準は被害者にとって最も有利であるため、損害賠償の増額が期待できます。労力やストレスが大幅に軽減されることも、弁護士に依頼することの大きなメリットです。

    自賠責保険基準:自賠責保険から支払われる保険金の算定基準。3つの基準の中で最も低額となる

    任意保険基準:任意保険会社が独自に定める算定基準。相手の保険会社が提示する示談金額は、この基準で算定されることが多い

    弁護士基準:過去の判例に基づいた算定基準。3つの基準の中で最も高額となる

    交通事故の損害額を算定する際の3つの基準の図解。弁護士に示談交渉を依頼すれば慰謝料など損害賠償の増額が期待できる
    交通事故の損害額を算定する際の3つの基準の図解。弁護士に示談交渉を依頼すれば慰謝料など損害賠償の増額が期待できる

    交通事故に関するトラブルは、間違った行動や判断で不利にならないよう、早い段階から弁護士に相談することをおすすめします。

     レンタカー事故についてよくある質問

    Q. レンタカーで事故を起こしたら、保険等級は下がる?

    レンタカー保険のみを適用する場合は、自分の車について加入している自動車保険の等級が下がることはありません。自分の自動車保険も併せて適用した場合は、保険等級が下がることがあります。

    Q. レンタカー保険に入っていない状態で事故を起こしたらどうなる?

    原則として、相手方に生じた損害を自己負担で賠償しなければなりません。ただし、自分の車の自動車保険に他車運転特約が付いている場合は、その保険によって損害賠償責任がカバーされることがあります

    Q. レンタカーで事故を起こした後、同じ会社からレンタカーを借りられる?

    レンタカー会社の判断によるので、一概には言えません。再び借りられるケースもありますが、悪質な行為でレンタカーを利用した場合は再度の利用を断られる可能性が高いと思われます

    まとめ |レンタカーの事故はレンタカー保険でカバーするのが一般的

    レンタカーの運転中に起こした交通事故については、契約時に加入したレンタカー保険が適用されます。ただし、レンタカー保険ですべての責任や損害がカバーされるとは限りません。レンタカー保険の補償内容を踏まえつつ、弁護士に相談しながら解決を図りましょう。

    弁護士に依頼すれば、事故の相手側との示談交渉や裁判手続きを任せることができます。損害賠償の増額が期待できるほか、労力やストレスも大幅に軽減されます。レンタカー事故で困ったら、早い段階で弁護士に相談することが大切です。

    (記事は2026年1月1日時点の情報に基づいています)

    交通事故のお悩みは『交通事故の羅針盤』で解決!

    交通事故後の手続きをサポートするポータルサイト『交通事故の羅針盤』では、役立つ記事をお届けするほか、交通事故に詳しい弁護士を検索するサービスをご提供しています。交通事故についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひ参考にしてみてくださいね。(※外部サイトへリンクします)

    交通事故トラブル
    について弁護士に相談する
    北海道・東北
    関東
    甲信越・北陸
    東海
    関西
    中国・四国
    九州・沖縄
    交通事故トラブル
    について弁護士に相談する
    北海道・東北
    東京
    関東
    中部
    近畿
    中国・四国
    九州・沖縄

    © Getty Images

    この記事を書いた人

    阿部由羅(弁護士)

    阿部由羅(弁護士)

    ゆら総合法律事務所 代表弁護士

    西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。交通事故案件のほか、離婚・相続・債務整理案件や、ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務などを得意とする。埼玉弁護士会所属。登録番号54491。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。